原油調達問題の住宅業界への余波が深刻化へ

お金の話

最近の原油価格の高騰(特に2026年初頭からの緊迫した中東情勢やホルムズ海峡の混乱によるもの)は、住宅業界に「建築費の上昇」「資材の供給危機」「金利上昇リスク」という3つの大きな影響を及ぼしています。 

単なる値上げにとどまらず、家が「建てられない」リスクまで指摘される深刻な状況です。 

住宅業界への直接的な影響とは

1. 建築資材の「価格暴騰」と「供給停止」 

住宅には石油を原料とする建材が驚くほど多く使われており、これらが直撃を受けています。 

  • 石油化学製品の危機: 断熱材(ウレタン・ポリスチレン)、ビニールクロス、塩ビ配管、塗料、接着剤などは原油(ナフサ)が主原料です。原料不足により、メーカーが受注停止や納期回答保留を行うケースが出ています。
  • 金属・設備のコスト増: 鉄、アルミ、ガラスなどは製造時に膨大なエネルギーを消費するため、原油・電気代の高騰がそのままサッシや屋根材、住宅設備(キッチンやバス)の価格に転嫁されています。
  • 家1棟あたり150万円以上の増額: 標準的な3,000万円の住宅で、少なくとも5%(約150万円)程度のコスト増になると試算する現場もあります。

2. 物流費の急騰と工期の遅延

  • 輸送・運搬費の上昇: 建材を工場から現場へ運ぶトラックの燃料(軽油)代や、海外からの輸入にかかる船の燃油サーチャージが上昇し、建築費をさらに押し上げています。
  • 工期の不透明感: 資材の「目詰まり」により、予定通りに物が届かず、引き渡し時期が大幅に遅れるリスクが高まっています。

3. 住宅ローン金利への波及

  • インフレによる金利上昇: エネルギー価格の高騰は全体の物価を押し上げます(コストプッシュ型インフレ)。これに対抗するため、金融機関が長期金利(固定金利の基準)を引き上げる要因となっており、借入負担が増える恐れがあります。

以前からの「ウッドショック」や「円安」に加え、今回の「原油ショック」が重なったことで、住宅価格は2026年を通じて高止まり、あるいはさらなる上昇(一部では30%上昇の予測も)が見込まれています。 

これから家づくりを検討される場合は、早めの資材確保や、予算に余裕を持った資金計画がこれまで以上に重要になります。

建築資材の具体的影響

2026年に入り、中東情勢の緊迫化に伴う「ナフサショック」が住宅業界を直撃しています。石油を精製して得られる「ナフサ」は住宅建材の基礎原料であるため、特に以下の資材で深刻な価格高騰や供給不足が起きています。 

1. 断熱材(石油系) 

最も影響が顕著な分野です。2025年からの断熱義務化により需要が高まっているタイミングと重なり、現場の混乱を招いています。

  • 硬質ウレタンフォーム・ポリスチレンフォーム: 原料のナフサ不足により、カネカデュポン・スタイロなどの大手メーカーが40%以上もの大幅な値上げや出荷制限を発表しています。
  • フェノールフォーム: 旭化成建材の「ネオマフォーム」なども受注制限や価格改定の対象となっています。 

2. 住宅設備(水まわり)

製品本体の樹脂パーツや製造工程で使われる有機溶剤が不足しています。

  • ユニットバス・トイレTOTOLIXILなどの大手メーカーで、一部製品の新規受注停止や納期の大幅な遅延が発生しています。
  • 給湯器: 内部の樹脂部品や配管継手のコスト増により、ノーリツなどが価格改定を実施しており、今後さらなる上昇圧力が懸念されています。

3. 仕上げ材・メンテナンス資材

  • 塗料・シンナー: 塗料そのものや、希釈に不可欠なシンナーが石油由来であるため、価格が最大80%暴騰したケースもあります。
  • ビニールクロス(壁紙): 主原料である塩化ビニル樹脂の価格高騰により、内装コストに影響が出ています。
  • 接着剤・シーリング材: 合板の接着や防水に使われる薬剤もナフサ由来のため、広範囲で値上げが続いています。 

4. 配管・外構資材

  • 塩化ビニル管(塩ビ管): 給排水設備に欠かせない資材ですが、原料のエチレン生産減少により供給不安が生じています。
  • 樹脂製エクステリア: ウッドデッキやフェンスなどの樹脂製品も、原材料費と物流費の両面からコストが上昇しています。 

今後の見通しと対策

2026年4月現在、単なる値上げだけでなく「モノが届かないための工期遅延」が最大のリスクとなっています。

  • 早期発注: 設備や断熱材の確保を優先し、工期を前倒しで計画する。
  • 代替品の検討: 石油系断熱材の代わりに、グラスウール(ガラス繊維)や自然素材(セルロースファイバー等)への切り替えを検討する。 

今新築住宅を検討している方は早めの動きが必要か

今の状況(2026年4月時点)であれば、完成済みの建売住宅は非常に有力な選択肢になります。

注文住宅やこれから建てる物件と比較して、以下の3つの大きなメリットがあるからです。

1. 「価格上昇」のリスクを封じ込められる

現在、原油高の影響で建材価格が毎月のように改定されています。注文住宅の場合、契約後に「資材が上がったので追加費用を」と求められるリスクがありますが、完成済みの建売は「今の価格」で固定されています。

2. 「工期遅延」の心配がない

断熱材や給湯器の不足で「家はできているのに住めない(引き渡しができない)」というトラブルが相次いでいますが、完成物件ならその心配がありません。今の家賃を払い続ける期間も最短で済みます。

3. 「金利上昇」の影響を最小限にできる

住宅ローンの金利は、一般的に「引き渡し時」のものが適用されます。1年後の完成を待っている間に金利が上がってしまうリスクを避け、今の低金利(または上昇前の水準)を確定させることができます。


注意点:断熱性能のチェック

ただし、一点だけ注意が必要です。2025年4月から省エネ基準への適合が義務化されましたが、建売住宅によってその「レベル」には差があります。

  • 原油高の影響で将来の光熱費も上がることが予想されるため、「ZEH水準(断熱等級5以上)」を満たしているかを必ず確認してください。

「価格の確実性」を優先するなら、完成済みの建売住宅は今の時代に合った賢い選択と言えます。

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